今回レビューするのは、Crealityの3Dプリンター「Ender3 S1 Pro」。
少し前の世代のモデルの3Dプリンターではありますが、世界的に人気のあるEnder3シリーズの後継であり、利用者が多くて情報が集めやすいのが魅力。
この記事では、「Ender3 S1 Pro」のスペックや特徴、S1との違い、実際に使ってみた感想を紹介します。
購入を検討している人の参考になると思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。
Ender3 S1 Proのスペック
プリンター方式 | ダイレクト |
---|---|
造形サイズ | 220×220×270mm |
プリンターサイズ | 490×455×625mm |
付属ノズルサイズ | 0.4mm |
対応フィラメントサイズ | 1.75mm |
ノズル温度 | 〜300℃ |
ヒートベッド温度 | 〜110℃ |
対応フィラメント種類 | PLA, PETG, ABS, TPU, PA, Wood |
積層ピッチ | 0.05 〜 0.4mm |
最大印刷速度 | 150mm/s |
データ転送 | USB-C, SDカード |
停電印刷再開 | ◯ |
フィラメントセンサー | ◯ |
レベリングモード | CR-Touch 自動レベリング(※1) |
ビルドサーフェス | PEIシート |
ディスプレイ | 4.3インチ |
メモ
※1 CR-Touchを利用した補助レベリング機能。水平を完全に保つような自動レベリングではないので要注意
通常のEnder3と異なり、ボーデン式からダイレクト式になり取り扱いやすくなったモデル。
補助レベリング機能があるものの、最近の3Dプリンターに搭載されている自動レベリングとは異なるため、手動レベリングが必要。
3Dプリントを楽しみたい人向けというよりは、3Dプリンターを導入し、カスタマイズや修理をしながら学びたい人におすすめ。
Ender3 S1 Proの同梱物
- Ender3 S1 Pro本体
- テスト用フィラメント
- SDカード
- SDカードリーダー
- ノズルニードル
- ニッパー
- スクレイパー
- 六角レンチ
- ドライバー
Ender3 S1 Proの付属品はこんな感じ。
テストプリント用のフィラメントも付属しており、SDカード内に4種類の異なるテストプリント用のファイルが用意されているので、別のものを買い揃えなくてもすぐに使うことができます。
ただし、付属のフィラメントは量が少ないので、いろんなものを印刷したいのであれば、同時にフィラメントを購入することをおすすめします。
あと、付属のスクレイパーは使えないことはないですが全然シャープじゃないので、ほぼ使っていません。
そもそも、PEIシートが定着しやすく剥がしやすいので、スクレイパーの出番がほとんどないので気にならないかもしれません。
Ender3 S1 Pro実機レビュー
Ender3 S1 Proは、組み立てが必要な開放機型の3Dプリンターです。
組合といっても、アームとベースをネジで固定して、エクストルーダーを設置。
あとは、タッチスクリーンを取り付けて配線するだけなのでめちゃくちゃ簡単。
配線用のコネクタは、決められたところにしか接続できないようになっているので、間違えて指すこともありません。
プラモデルや家具を組み立てたことがある人なら、問題なく組み立てられると思います。
Ender3 S1 Proを実際に使ってみた感想
ここからは、僕が実際にEnder3 S1 Proを使ってみた感想を、良い点と不満な点を含めて紹介します。
レベリングさえしっかりできれば、十分すぎる3Dプリンター




複数のパーツをプリント中のEnder3 S1 Pro
全ての3Dプリンターの肝になるのがレベリング。
これが上手にできないと、きれいな印刷ができませんが、逆にいうと、それさえできてしまえば、今でも十分使いやすい3Dプリンターです。
人気機種であり、情報をネットで用意に集められるので、トラブル時にも解決策を見つけやすいのも良いですよ。
付属のPEIシートが便利
Ender3 S1 Proには、純正のPEIシートが付属しているんですが、これがかなり優秀。
印刷物が定着しやすく、完成品を取り外しやすいので、めちゃくちゃ便利です。
というのも、Ender3 S1も使ってことがあるんですが、こちらにはPCスプリングスチールシートというものが付属しています。




PCスプリングスチールシートとPEIシート
このビルドプレートは、PEIシートに比べると定着が悪く、剥がしづらい印象がありました。
また、PEIシートに比べて脆い。
定着率を上げるためにノズルとベッドの寄りを近づけすぎると、ノズルがシート自体を傷つけてしまい、跡が残ります。
その状態で使い続けていると、穴が空いて使えなくなってしまうことも・・・




穴の空いたPCスプリングスチールシート
まぁ消耗品なので仕方はありませんが、PEIシートのほうが圧倒的に使いやすく、長持ちするので、PEIシートが最初から付属しているのはめちゃくちゃ便利。
3Dプリンターの調整方法を学びたい人やカスマイズをしたい人におすすめ




レベリングテスト中のEnder3 S1 Pro
参考
レベリングの調整に使っているファイルはこちら> Prusa Mini First Layer Calibration Tool




レベリング調整前




レベリング調整後
レベリング調整前は、手前の真ん中は十分に定着していませんが、レベリング調整後は定着が改善しました。
手前側は、調整後もノズルとの距離が近すぎるため、完璧なレベリングと言うには程遠いですが、これは不特定多数が使う3Dプリンターであり、結構頻繁にレベリングが狂ってしまうので、定着しやすさ重視で粗めの調整をしています。
最近の3Dプリンターだと、こういった調整が不要で、全自動でレベリングが解決してしまうので便利ではありますが、レベリングなどを学びたい人には、まだまだ旧世代の3Dプリンターはおすすめです。
また、Ender3シリーズは世界的にも人気のある機種なので、カスタム用のパーツが用意に見つかります。
カスタムパーツを3Dプリンター自体で印刷できるのも、3Dプリンティングの魅力のひとつなので、こういったカスタマイズを楽しみたい人にもおすすめ。
マイナーな機種を選んでしまうと、必要なパーツは自分で1からデザインしないといけないので、Ender3シリーズのような人気機種はカスタムが簡単で便利です。
単純に3Dプリントを楽しみたい人なら別の機種が良い
造形もキレイで申し分のない3Dプリンターではありますが、単純に3Dプリンターで印刷したいなら、完全なオートレベリング機能を備えた機種がおすすめです。
レベリングを狂わせると、それだけで印刷ができなくなったり、印刷物の品質にも大きく影響します。
僕は、オートレベリングを備えたBambu LabのP1Sを使っているので、個人的にはこの機種がおすすめしますが、Ender3の後継機種であるEnder3 V3にもオートレベリング機能が搭載されているため、Creality製品を使いたい場合は、Ender3 S1よりはV3のほうが良いと思います。
まとめ
- Creality Ender3 S1は今でも十分に使える3Dプリンター
- オートレベリング機能は、最近のものとは異なるので要注意
- 人気機種なので、カスタムパーツや情報をネットから得やすい
- 3Dプリンターの構造を学んだり、カスタマイズしたい人にはおすすめ
- 単純に3Dプリントを楽しみたい人は、より新しい機種がおすすめ
今回は、Crealityの3Dプリンター Ender3 S1 Proをレビューしました。
旧世代の3Dプリンターのため、高速機が主流となった最近の3Dプリンターに比べると扱いは難しいですが、しっかりと設定すれば今でも十分に使える3Dプリンターです。
マニュアルレベリングが必要な分、3Dプリンターの調整を含めて学びたい人におすすめで、より簡単に早く3Dプリントをしたい人は、新しいモデルがおすすめです。